カカイル 小説
公開日: 12.11.2022

ホーム ピグ アメブロ. 何を言えばいいんだろう。この世からいなくなってしまうイルカ先生に。愛の言葉だろうか、お別れの言葉だろうか。お礼の言葉だろうか、それとも謝罪の言葉? 分からない、何を言えばいいのか。イルカとは二度と会えなくなってしまうのに。何も考えられない。 「イルカ先生、イルカ先生、イルカ先生」 名前をくり返して呼ぶ事しか出来ない。 イルカの顔を見ると、血で汚れている。大好きなイルカの顔が。 震える指でイルカの顔を触って血を拭おうとしたが、血は固まっていて簡単にはとれなかった。イルカの顔が血で汚れているなんて嫌だ。拭おうとするカカシの手に水が落ちた。カカシは自分でも気付かない内に泣いていた。.
男はそう言ってイルカの縛った髪を強引に引っ張った。イルカが呻く。 こんの野郎っ! カカシは無我夢中で殺気を全開にした。途端、男の動きは止まった。イルカの方は元から意識があったのかなかったの分からないがとりあえず起きる気配はない。 カカシは小屋の扉をゆっくりと開けて中に入った。硬直する男、ぐったりとしているイルカ。カカシの怒りのボルテージが上がっていく。. ホーム ピグ アメブロ. 周りから愛の勝利だの恋人を救ったカカシは男の中の男だのでうるさいほどだった。 お前らここには野次を飛ばすために来たのか?と思わずにはいられない。 十中八九そうだろうが。 イルカとカカシは連れ立って小屋から出た。そこにフラッシュが焚かれる。どうやら新聞記者がもう集まってきたらしい。どうしてこんなに迅速な対応が取れるんだよその力をもっと別な方向に使えと思いながらカカシはイルカと共にフラッシュを手で避けつつ家路に就いたのだった。 カカシの部屋はあの男が荒らしたのか、それとも鑑識が部屋をくまなく調べたためか、又は以前からそうだったのか、少し散らかっていた。.
そして月日は流れる。 九尾の事件や、中忍試験や、初めての長期任務、教員試験などなど。 俺にもいろんなことがたくさんありました。 泣いたり笑ったり怒ったり、死に掛けた事や、絶望にかられて生きる気力を見いだせなかったこともあった。でも、俺の心にはいつもカカシがいた。 可愛いカカシ。 俺のことを大好きと言ってくれたカカシ。 お婿にしてという告白に頷いた俺の前で、しわくちゃの顔で泣きながら喜んでくれたカカシ。 俺のことが好きだと言ってくれた奇特な女の子たちもいたけれど、俺は全部断った。 だって、俺にはカカシがいるのだから。 将来婿にもらうと約束を交わしたカカシがいるのだからと、俺はずっとカカシのことを思っていた。. やたらと興奮する男と、最近知り合い仲良くなった上忍の人たちを間に挟み、よくよく話し合えば、その男は俺が長年思い続けていたカカシだという。 可愛い女の子だと思っていた俺は多大なる衝撃を受け、一ヶ月ほど記憶の怪しい日々を送ることになった。 だが、その記憶のない一ヶ月はとんでもない失態の一ヶ月だった。 ようやく衝撃が解け、我に返ってみれば、男ーカカシは俺のアパートに住み込み、一緒に生活をしていた。 しかも知らぬ間に肉体関係も結んでいたようで、俺の体は一ヶ月前とは全く違う仕様に仕込まれてしまっていた。 何がどうしてと絶望にかられたり、カカシを殺して俺も死ぬと大騒ぎをしてやらかしたが、カカシのへこたれない求愛と、美味しい食事と時折見せる在りし日の可愛いカカシの仕草に、俺はいつしか絆されていた。.
そうなのだ。 カカシと正式に付き合ってから、俺はほぼ毎日、カカシの元彼女という存在に散々な嫌がらせを受けることとなった。 校舎裏や、人気のない中庭に呼び出されること、一人、二人、三人。 まぁ、そこまでは、カカシは見ての通りの美形と実力を兼ね備えている色男だから無理もないかぁと思っていたのだが、その数が四人五人六人と、日々更新されるごとに俺の顔はもはや笑みを浮かべていられない状態になった。 タイプは本当に千差万別で、綺麗系から肉感系、可愛い系からクール系などなど、しかもその誰もが男としてちょっと羨むほどの美貌だった。 ま、まぁ。里の誉れだし? しがない一介の中忍の普通の付き合いと比べたらいけないこととは思う。うん、比べちゃ駄目なんだって。そうそう、は? 熱い夜を過ごした? HAHAHAHA、奇遇だねお嬢さん、俺も爛れるほどの生き地獄体験者さ! え? 気色悪いって? 仕方ないじゃーん、俺だってあの一ヶ月がなかったら慎ましい性生活を送ったと思うよ。いや、マジで。一体、本当、どこのどいつだろうなぁ、俺の体を好き勝手に仕込みやがったのは!! リス n 1 男は何もカカシだけじゃないわよと、励ましてんだか、また彼女の座につきたいのか分からない声援を受けつつ、カカシの元彼女の姿が見えなくなったと思った矢先の本日。.
そうしてイルカは目を閉じた。 「イルカ先生っっ!!!!」 そして。 イルカは目を開けず、こう言った。 (愛してます、カカシ先生) その言葉はもう声にはならなかったけれども。カカシには分かった。イルカが何を最後にいったのかが。.
アスマの口からたばこが床に落ちた。 「…床に落とすなよ」 落下して床に落ちたたばこをカカシが拾い捨てる。 いや、そんな事どうでもいい。何を普通通りに振舞っているのだ。 そんなたばこなんてどうでもいい事だろう。今お前は何を言ったんだ、カカシ。 その通りだと…!?. 一途な男(カカイル) つぶやっきー. カカシはそういうと印を結んだ。鳥形の式を火影に向けて飛ばす。そういえばイルカは大丈夫だろうか。放り出されても意識を取り戻してなかったような気がするが。 カカシは男をさっさと拘束してイルカのそばに駆け寄った。拘束するときに男がほんのり顔を赤らめてこんな至近距離初めてとかなんとかほざいていたが完璧に無視した。.
ホーム ピグ アメブロ. まる1日寝ていたらしく、再び気がついたのは、病院のベットの上だった。どうやら火影様の家で熱を出し倒れたらしい。 そこで火影より事の事情を聞いた。 医者からの報告、イルカの事、イルカを殺した男は捕まり、処刑されたという事だった。 自分は復讐する事もままならないのかと思った。 そして自分の任務の報告ーーーーー。.
どういう意味なのか怖くて聞けなかった。しかし男はカカシのズボンの裾を止まることのない涙で濡らす。 この服、任務帰りで汚れてんだけどいいのかなあ? よくよく男を見れば、自画自賛するだけあってなかなかに綺麗な顔立ちをしていた。そっち系の人なのだろうか。ぞわっと鳥肌が立つ。. なるほど、などと思いながらイルカは微笑む。 目の前にいる人が自分の為に泣いているのを見ていると、 死ぬ事が怖いとはあまり思わない。頭の中にはカカシとの思いでが巡っている。 イルカの顔を見てドキっとした。イルカが笑っている。血まみれの中で。 「スイマセン…、カカシ先生…、俺はもう、ダメみたいです…」 青い顔をしながら、ゼイイゼと肩で息をし、イルカはしゃべる。 「カカシせんせい、俺の言う事…、き、いてくれます…?」.
イルカがさらわれた。 それを聞いた時、カカシは己の失態に舌打ちをした。抜かった。いくら自分がSランク任務で里外にいたからと言ってイルカの警護を誰か別の人間に頼んで行けば良かった。 新聞の一面に勘違いの記事が掲載されたその日から、カカシとイルカは何故か里の公認カップルと言うことになってしまった。それを聞いて大喜びする者、嘆き悲しむ者、嫉妬する者、祝福する者と賛否両論が巻き起こったのだが、実際は困っている友人を匿っているだけなのだといくら言っても誰も信じてくれない。これでは彼女も結婚もできなくなってしまうとイルカは家に帰りますとひたすら恐縮していたのだが、それではまったく何の解決にならないし、自分は今現在特定の彼女がいるわけでもないし、特別結婚願望もないことだし、とりあえずはこのまま続行しましょうということに落ち着いた。はたけカカシの家に匿われているという事実だけでもちゃんと確定させておけば、刺客もおいそれとは襲ってこないはずなのは確かなのだから。 そうして日々は過ぎ、カカシが久しぶりに拝命した少しばかり長期(と言っても2週間)の任務から帰ってきたらこれだ。舌打ちしたくもなる。自己嫌悪でどうにかなりそうだ。イルカが無事であればいいのだが。 カカシは任務で疲れた身体に鞭打って火影の元へと向かった。だが執務室にはいなかった。かろうじてサクラが資料の整頓をしていた。.
カカシは遠くから自分の家に明かりが点っているのを確認して、足を速めた。 イルカ先生が俺を待っていてくれている。そう思うと幸せで、無事イルカの元に帰って来れた事に心底喜びを感じていた。 しかし、家に近付くにつれ、不穏な気配に気付き眉をひそめる。. そうなのだ。 カカシと正式に付き合ってから、俺はほぼ毎日、カカシの元彼女という存在に散々な嫌がらせを受けることとなった。 校舎裏や、人気のない中庭に呼び出されること、一人、二人、三人。 まぁ、そこまでは、カカシは見ての通りの美形と実力を兼ね備えている色男だから無理もないかぁと思っていたのだが、その数が四人五人六人と、日々更新されるごとに俺の顔はもはや笑みを浮かべていられない状態になった。 タイプは本当に千差万別で、綺麗系から肉感系、可愛い系からクール系などなど、しかもその誰もが男としてちょっと羨むほどの美貌だった。 ま、まぁ。里の誉れだし? しがない一介の中忍の普通の付き合いと比べたらいけないこととは思う。うん、比べちゃ駄目なんだって。そうそう、は? 熱い夜を過ごした? HAHAHAHA、奇遇だねお嬢さん、俺も爛れるほどの生き地獄体験者さ! え? 気色悪いって? 仕方ないじゃーん、俺だってあの一ヶ月がなかったら慎ましい性生活を送ったと思うよ。いや、マジで。一体、本当、どこのどいつだろうなぁ、俺の体を好き勝手に仕込みやがったのは!! 相対する元彼女たちの対談は、売り言葉に買い言葉の応酬を経ての、最後にはちきしょーとカカシの文句を言い男泣きに泣く俺に同情の念が集まり、精神的な敗北は免れないが、一応穏便に済んでいる。 男は何もカカシだけじゃないわよと、励ましてんだか、また彼女の座につきたいのか分からない声援を受けつつ、カカシの元彼女の姿が見えなくなったと思った矢先の本日。.
たぶん拷問行きだろうと思ってカカシは男に少し同情した。 男はイルカを手放した。観念したのだろうか?利口な選択だと持ったカカシだったが、次の瞬間男はカカシの足にすがりついた。 げっ、と思ったがここで突飛な行動をするこの男を刺激したらなにをやらかすか解らないため、カカシはとりあえずなすがままにしておくことにした。. カカシはイルカが死んだ時の事を毎日思い出していた。意識して思い出している、という訳ではない。脳裏に焼き付いて離れないのだ。 あの時、イルカは微笑んでいた。 そして俺にこう言った。 「スイマセン…、カカシ先生…、俺はもう、ダメみたいです…」 青い顔をしながら、ゼイイゼと肩で息をし、イルカはしゃべる。口から顎へ血の糸が伝う。 俺はそんなイルカ先生を動く事も出来ず、じっと見ていた。涙が止まらず、たまにイルカの顔がぼやけてしまう。それが嫌で、泣くのを止めようと意識したが止まらなかった。 イルカの手がカカシの手に触れる。.
そして今もまだ拒否反応はない。 拒否反応が起きたその時、医者にかからずそのままでいれば、死にいたるであろう。カカシはそれを期待していた。イルカの左手の為に死んだのなら、自殺ではないと思う。こじつけだとは思うが、それ以外に自分が死ぬ方法が思い付かなかった。 今カカシは泣きじゃくりながら自慰行為を行っている。こんなみじめな姿を曝す自分が、寂しくて。だがイルカはもういないのだ。この左手を残して灰になってしまったのだ。 「あっ…、イルカ先生…っ」 息も荒く、カカシは絶頂を迎えた。 手を拭う事もせず、そのままカカシは片膝を抱えて膝に頭を押し付けた。.
そしてまた涙があふれる。もうイルカを思って泣いているのか、辛くて泣いているのかが分からない。 でも涙は止まらなかった。泣いたってイルカが生き返る訳ではない。分かってはいるが後から涙が溢れてくる。 イルカを想って泣いている自分が可哀想だと思った。. その時緩やかに何かがふっきれた。腕が俺の腕として動いて。その腕が日に当たって。何だかとっても嬉しかったんだ。イルカ先生が日に下にいる事が。その時も涙があふれたが、それを最後に泣く夜はこなかった。 穏やかに。生きてみようと。あなたのように。.
… …. …… … .
俺だってあんたが好きなんだ。本当は誰にも渡したくなどなかった。女に結婚を阻んでくれるなと言われて自分を押し殺し、記憶を封印して逃げたけれどもういい、もう知るものか。 この人の愛を一身に受けよう、どんな咎を受けてもいい。だから愛させてほしい。 どろどろに溶け合って、体に不調をきたすほどまぐわって、俺はカカシさんにおぶられて木の葉へと戻った。 里で待っていたのは、上層部の意見を足蹴にした相応の処罰だった。. 俺の発言にぶたれるように身をちぢ込ませたが、カカシはしばらくして間の抜けた声をあげた。 「へ?」 その態度に、俺は頭に血が上る。きっさまぁぁ、ふざけやがるのもいい加減にしろよ!? あまりの怒りで言葉が詰まる俺に、カカシはおそるおそる声をかけてきた。 山田 桜 「はぁぁぁ!? んなもん、ちっとも関係ねぇだろうが! いいか、過去は過去。今は今! たとえ、アンタが過去に一年間男女交えての乱交パーティし続けたとしても文句はねぇよ! あ、でも年端も行かない子供に手を出した場合はマジで引くかんな、その事実が明るみに出た時点で即離婚すっからな!!」 ぱちぱちと瞬きを繰り返すカカシに、くっそ今の可愛いと思いつつ、俺の怒りのボルテージは収まらない。 「え、いや。さすがに子供には手を出さないよ。え? あれ? イルカ、何に怒ってるの?」 「はぁぁぁ? ここまで言って分からねぇとはとんだ脳なしだな! いいか! 俺が怒ってるのは、一途という称号は俺にこそふさわしいって言ってるんだろうがぁぁぁぁぁぁ!!」 舐めるなぁぁと掴んでいた首根っこを廊下へと叩きつける。 ぺしゃと間抜けな音を立てて横すわりにへたりこんだカカシに、あ、今のはひどかったかもとちょっと反省する。 俺に叩きつけられたことがショックだったのか、呆然としたまま座り込んだままの体勢を崩さないカカシが心配になって、俺は仕方ないなぁと大きなため息を吐いた。 俺のため息にびくりと体を跳ねさせ、怯えた目で見上げてきたカカシの側に腰を落とし、カカシの頭へ手を乗せる。そのままぐりぐりと頭を撫でて、不安そうな瞳に笑いかけてやった。.
それからカカシは立ち尽くす。 イルカの墓の前に。 「イルカ先生」 カカシは墓に話し掛ける。 「俺、死ねなかった。…手もね、もうちゃんと動くんだ」 そういって左の手の平をわきわきと動かした。.
……… .
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Sakaeそしてまた涙があふれる。もうイルカを思って泣いているのか、辛くて泣いているのかが分からない。 でも涙は止まらなかった。泣いたってイルカが生き返る訳ではない。分かってはいるが後から涙が溢れてくる。 イルカを想って泣いている自分が可哀想だと思った。.12.11.2022 14:03